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​​​不動産業者・物品レンタル業者が破産する場合の注意点

不動産業者(不動産賃貸業、不動産仲介業など)やレンタル業者が破産する場合、不動産やレンタル物品の管理方法や処分方法、状況把握が問題になりやすいといえます。
関係者も多数に及ぶことがあるため、できるだけ早い段階で契約関係を整理しておく必要があります。

この記事では不動産業者や物品のレンタル業者が破産する場合のポイントや注意点をお伝えします。

不動産業者(不動産賃貸業、不動産仲介業など)やレンタル業者が破産する場合、不動産やレンタル物品の管理方法や処分方法、状況把握が問題になりやすいといえます。
関係者も多数に及ぶことがあるため、できるだけ早い段階で契約関係を整理しておく必要があります。

この記事では不動産業者や物品のレンタル業者が破産する場合のポイントや注意点をお伝えします。

1.所有する土地建物の把握や換価

不動産業を営んでいる場合、自社で土地建物を所有しているケースが多いでしょう。

所有する不動産については管財人に引き継がなければならないので、どういった物件がどこにあるのかを把握しておく必要があります。

所有物件の現状を把握して、一覧表を作成しましょう。

1-1.物件の売却について

物件は、適正な売却先に相当な価格で売却できるのであれば、破産申立て前に破産会社が売却して現金に換えてもかまいません。ただし売却金で一部の債権者にのみ弁済すると偏頗弁済となってしまう可能性があります。自己判断で勝手に弁済にまわさず、破産の申立てを依頼する弁護士の指示にしたがって売却金を管理しましょう。

1-2.賃借人の把握

所有物件がある場合、テナントなどに賃貸しているケースが多いでしょう。

賃借人との契約も、申立て後に管財人へ引き継がなければなりません。その後、賃借人には管財人の口座へ賃料を払ってもらう必要があります。

申立て後にスムーズに管財人へ引き継ぎができるように、賃借人や賃料額などの一覧表も作成しておきましょう。滞納がある場合、滞納状況についても確認しておくべきです。

1-3.不動産管理会社との関係

不動産を所有している場合、不動産管理会社へ不動産の管理を委託しているケースもよくあります。

委任者が破産すると、管理会社との準委任契約が終了してしまいます(民法653条2条)。

その後の処理は破産管財人が行いますが、前提として管理会社に委託していたことは伝えなければならないでしょう。不動産管理会社に管理委託している場合、どの不動産についてどこの管理会社に委託しているのかについても明らかにする一覧表を作成しましょう。

2.貸出物件の処理について

2-1.貸出物件の返還交渉や売却について

不動産を貸し出している場合、基本的には物件を返還してもらってから破産管財人に引き渡すのが良いでしょう。ただし賃借人が返還交渉に応じるとは限りません。

返還に応じない場合、賃借人自身に物件を引き取ってもらうのも1つの対処方法となります。あるいは賃借人が入ったまま第三者へ売却する方法もあります。

一方、破産会社が売却しないまま破産手続開始決定が出ると破産管財人が売却を進めることになるので、引き継ぎを行いましょう。

2-2.賃貸借契約の解除について

双方が履行していない双務契約がある場合、破産管財人は契約を継続するか解除するかを選択できます。ただし賃借人が対抗要件を備えている場合、管財人は賃貸借契約を解除できません。合意によって契約を解消しない限り、賃貸人として契約を継続する必要があります。

賃借人が対抗要件を備えている物件についてはリストアップして、管財人に引き継ぐのが良いでしょう。

2-3.敷金返還請求への対応

賃借人と合意して賃貸借契約を解除する場合、敷金や保証金を返還しなければならないのが一般的です。敷金返還請求権も破産債権となるので、未払いがあれば計上しなければなりません。この場合、元の賃借人が債権者になります。

また賃借人から未払い家賃や原状回復費用が支払われていない場合、敷金に充当できます。ただしその範囲や順番については法律的な見解が分かれているので、専門知識がないと判断しがたいでしょう。

未払金・原状回復費用を敷金に充当する場合には、破産の申立てを依頼する弁護士に相談して対応してください。

3.管理業務を行っている場合

不動産会社が管理業務を行っている場合、破産手続開始決定によって準委任契約は終了します。その後は管理業務を行えなくなるので、後任の業者への引き継ぎが必要となります。心当たりの業者を探すか、管理委託者側で探してもらって引き継ぎを行いましょう。

4.サブリース業を営んでいる場合

不動産業を営んでいる場合、サブリース業を行っているケースがあります。サブリースとは、不動産会社が物件を一括で借り上げて個々の賃借人へ転貸する形態の賃貸借契約です。

サブリースの場合、破産会社の立場は「賃貸人」でもあり「賃借人」にもなるので、法律関係が非常に複雑になります。

破産管財人へスムーズに引き継ぎができるように、どこの物件でどういった形態でサブリースを営んでいるのか、整理しておきましょう。

5.第2種金融商品取引業の登録をしている場合

不動産業やレンタル業を行っている場合「第2種金融商品取引業」の登録をしているケースがあります。その状態で廃業したり破産手続開始決定を受けたりすると、速やかに管轄の財務局へ届け出なければなりません。

自社が第2種金融商品取引業の登録をしているかどうかを確認し、登録しているようであれば廃業と同時に届出を行いましょう。

6.保険代理店を営んでいる場合

不動産業者や物品レンタル業者が保険代理店を営んでいるケースもよくあります。

こういったケースでは、破産の申立て後に顧客から預かっている保険料の取り扱いが問題となります。

顧客リストを作成し、預かっている保険料について整理しておきましょう。

また借り入れのある銀行で口座開設し預金残高がある状態で破産すると、その銀行から相殺される可能性もあるので注意が必要です。

7.手付金の処理について

分譲住宅や分譲マンションの販売を行っていた場合、売買契約の締結時に買主から手付金を預かっているケースが多いでしょう。

破産手続きが開始すると、破産管財人が売買契約を解除する可能性があります。そうなると、手付金は顧客へ返還しなければなりません。顧客が債権者となります。

スムーズに手付金の返還作業を行えるように、どのような顧客からどれだけの手付金を受領しているのか確認し、一覧表を作成して破産管財人へ引き継ぎましょう。

8.貸出状況の整理や把握

レンタル業者の場合、商品を貸し出しているケースが多いでしょう。

貸出中の商品については、貸出期間が満了すると借主から速やかに返却を受ける必要があります。どの商品を誰に貸し出しているのか、いつ契約期間が満了するのかなど、貸出状況を整理して把握しましょう。そのうえで、廃業後に貸出期間が満了する予定のものについては弁護士と相談して返却方法を決めておき、廃業後に速やかに借主に通知しましょう。

9.前払金の取り扱い

レンタル事業では、利用者から前払金を預かるケースもあります。たとえば着物や振袖などのレンタルの利用者が業者に前払金としてまとまったお金を支払っているケースなどです。

前払金を払った場合、利用者は破産手続きの中で破産債権者として配当を受ける可能性があります。つまり破産会社にとっては未払いの前払金が負債となり、利用者が債権者として取り扱われるのです。前払金を受け取っている顧客がいる場合、そういった顧客のリストも作成しましょう。

また廃業が避けらないことが明らかになってからもさらに事業を継続して前払金を受け取り続けると、あとで大きな混乱を招く可能性が高くなってしまいます。

破産手続きギリギリまで事業を継続するとしても安易に前払金を受け取らず、早めに弁護士に相談してください。