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​整骨院・接骨院(柔道整復師)が破産する場合の注意点

整骨院や接骨院が破産する場合、未回収の療養費の回収や医療機器の廃棄方法、事業継続の有無などに注意が必要です。

たとえば整骨院や接骨院を営む柔道整復師は、患者に代わって保険者への療養費の支給申請を行い、療養費を直接受領していることが多いでしょう。これを「受領委任払制度」といいます。

破産の際には受領委任払制度のもとでの療養費の請求・支払の仕組みを考慮したうえで、廃業に向けたスケジュールを組む必要があります。

以下では整骨院や接骨院が廃業する場合の注意点を解説します。経営状況が悪化している場合にはぜひ参考にしてみてください。

整骨院や接骨院が破産する場合、未回収の療養費の回収や医療機器の廃棄方法、事業継続の有無などに注意が必要です。

たとえば整骨院や接骨院を営む柔道整復師は、患者に代わって保険者への療養費の支給申請を行い、療養費を直接受領していることが多いでしょう。これを「受領委任払制度」といいます。

破産の際には受領委任払制度のもとでの療養費の請求・支払の仕組みを考慮したうえで、廃業に向けたスケジュールを組む必要があります。

以下では整骨院や接骨院が廃業する場合の注意点を解説します。経営状況が悪化している場合にはぜひ参考にしてみてください。

1.破産しても柔道整復師の資格には影響しない

整骨院や接骨院を営むには、柔道整復師の資格が必要です。

「破産すると、柔道整復師の資格が失われてしまうのではないか?」と心配になる方もいらっしゃるでしょう。

法律上、破産しても柔道整復師の資格に影響はありません。破産手続き中も手続き後も仕事は継続できるので、安心しましょう。

破産後は他院で従業員として勤務してもかまいませんし、再度開業することも可能です。

ただし柔道整復の業務に関して犯罪や不正行為を行った場合には、厚生労働大臣により免許の取り消しや業務停止処分を受ける可能性があります。

そういった目に遭わないように、破産前から診療費の不正受給などはしないようにくれぐれも注意してください。

2.医療機器の処分方法の検討

整骨院や接骨院では、医療機器に該当するものを多く利用しているケースが多々あります。

医療機器を売却、処分する際には「医薬品医療機器等法」に則った方法で対応しなければなりません。自己判断で適当に処分すると、違法状態になってしまう可能性もあります。

対処方法に迷ったときには弁護士へ相談しましょう。

リース物件の所在と状態の確認

整骨院や接骨院内の低周波治療器・干渉波治療器などの高額な機器は、リース物件であるケースが多数です。リース物件の場合、廃業のタイミングにあわせてリース会社によって引き揚げられるでしょう。

引き揚げ作業がスムーズに進むよう、廃業前に物件の所有者や設備の所在状況などを確認しておく必要があります。

3.療養費請求手続きの進捗の管理

柔道整復師の施術には、一部保険が適用されます。具体的には急性または亜急性の外傷性の打撲、捻挫、骨折や脱臼に対するものが保険適用対象になります。

そして保険適用となる療養費の支給について、整骨院や接骨院を営む柔道整復師は「受領委任払い」を利用しているケースが多数です。受領委任後払いとは、患者に代わって保険者へ療養費を支給申請し、療養費を直接受領する方法です。

受領委任後払いを利用する場合、柔道整復師は毎月患者ごとにレセプトを作成して保険者に療養費を請求しなければなりません。すると、申請の受付からおおむね2~4ヶ月後に療養費が支給される仕組みとなっています。

このように、受領委任払いを利用すると、患者に対する施術から現実の療養費の回収までに時間がかかります。廃業する場合には、療養費の請求手続きの進捗や療養費の入金状況をきちんと管理してスケジュールを組んでおきましょう。

3-1.交通事故の場合の保険会社への請求について

整骨院や接骨院の患者が交通事故の被害者の場合、損害保険会社に対して施術費を請求することになります。通常は「公益社団法人日本柔道整復師会」が作成する書式により、1ヶ月単位で作成して書類を損害保険会社へ送付します。

廃業する際には、交通事故患者の施術費用に関する状況も破産管財人へ報告しなければなりません。施術証明書や施術日明細書の作成・送付の進捗と入金状況を管理しておきましょう。

3-2.療養費当月振込サービスの利用の有無とその範囲・金額の確認

​整骨院・接骨院の中には、療養費の請求事務を外部に委託したうえで、療養費当月振込サービスを利用している場合があります。

療養費当月振込サービスとは、金融機関を介して療養費相当額を一時的に借り入れられるサービスです。本来なら療養費の支払いは2~4ヶ月後になりますが、療養費当月振込サービスを利用すると、早めに支払いを受けられます。

療養費当月振込サービスを利用している場合、原則的なケースと比べて療養費の入金の見込額や時期が変わってきます。整骨院や接骨院が廃業する際には、療養費請求の進捗確認の際に療養費当月振込サービスの利用の有無や範囲、金額に関しても把握しておく必要があるといえるでしょう。

3-3.不正請求の有無の確認

柔道整復師が患者と共謀、あるいは患者に無断で通院日数や施術部位の数などについて実際と異なる虚偽の内容を申告して不正請求を行っている事実が判明すると、後に大きな問題に発展してしまいます。

1つには、破産管財人によって撤回される可能性が高まります。

また監査によって療養費の不正請求が明らかになった場合、その柔道整復師は5年間、受領委任の取り扱いを中止されてしまいます。

もちろん保険者から不正に取得した金員は返還しなければなりません。なおこの場合の返還請求権は破産手続き上、一般の破産債権として届出られるのが通常です(滞納処分は行われないケースが多数です)。

整骨院や接骨院が破産する場合、内部で不正請求などの問題が起こっていないか、きちんと確認しておきましょう。

万一問題がある場合には、申し立てを依頼する弁護士へ伝えて対応方法を相談してみてください。

4.施術録・カルテの保管場所の確保

受領委任払制度を利用している整骨院・接骨院では、施術録やカルテについて5年間の保存義務を負っています。

電子カルテを採用していない場合には、施術所を明け渡すことになった場合のカルテなどの保管方法・保管場所についても考えておかなければなりません。

5.事業継続の希望の有無の確認

整骨院や接骨院が破産する場合には、事業を継続するかどうかも検討しましょう。

5-1.他院へ事業譲渡する方法

破産した整骨院を継続する方法として、まずは他院へ事業譲渡するケースがあります。その場合、破産する整骨院に魅力を感じて購入する買受人を見つけなければなりません。

買受人に整骨院や接骨院をそのまま譲渡できれば、医療機器も引き続き使ってもらえる可能性が高く、廃棄の手間をかける必要がなくなります。

またカルテなども買受人に継続保存してもらえるので、保管費用を捻出する必要もなくなるでしょう。

5-2.自分で事業継続する方法

整骨院や接骨院の場合、事業譲渡をせずに経営者本人が事業を継続できる可能性もあります。経営者が整骨院事業の価値相当額を用意して現金で支払えば、自ら事業を継続できるのです。

先にも述べたとおり、柔道整復師の資格は破産によっても失われません。整骨院の事業価値が低くなる場合などには、自分の手による事業継続も検討するとよいでしょう。

なお事業継続を検討する際には、以下のような事情を考慮すべきです。

  • 破産手続開始決定前後の財産の峻別状況
  • 商号や広告の変更予定の有無
  • 債権者や利害関係人の意向など

事業継続を希望する場合には、破産の申立てを委任する弁護士へ相談してみてください。

6.休止や廃止の届出について

整骨院や接骨院が廃業する際には、廃業日から10日以内に都道府県知事へ届出をしなければなりません(柔道整復師法19条2項)。

届出を怠った場合には、30万円以下の罰金を科される可能性があります(柔道整復師法30条6号)。

整骨院や接骨院を破産前に廃止する場合には、忘れずに届出を行いましょう。