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​病院・歯科医院が破産する場合の注意点

病院・診療所や歯科医院は、医薬品(劇薬や麻薬を含む)やカルテなどの個人情報が記載された書類を大量に保管しているケースが多いでしょう。また高額の医療機器を備えている病院も多く、廃業の際の混乱に乗じてこれらが外部に流出することがないように細心の注意を払う必要があります。

入院患者がいる場合には、確実かつ迅速に転院を実施する必要もあります。

​病院・診療所や歯科医院の破産では検討しなければならない事項が多岐にわたるため、なるべく早い段階で弁護士に相談するようおすすめします。

この記事では病院や歯科医院が破産する場合の注意点をお伝えしますので、経営が苦しくなっている場合にはぜひ参考にしてみてください。

病院・診療所や歯科医院は、医薬品(劇薬や麻薬を含む)やカルテなどの個人情報が記載された書類を大量に保管しているケースが多いでしょう。また高額の医療機器を備えている病院も多く、廃業の際の混乱に乗じてこれらが外部に流出することがないように細心の注意を払う必要があります。

入院患者がいる場合には、確実かつ迅速に転院を実施する必要もあります。

​病院・診療所や歯科医院の破産では検討しなければならない事項が多岐にわたるため、なるべく早い段階で弁護士に相談するようおすすめします。

この記事では病院や歯科医院が破産する場合の注意点をお伝えしますので、経営が苦しくなっている場合にはぜひ参考にしてみてください。

1.在庫品(医薬品、医療用品など)や医療廃棄物の管理​

院内には、医薬品、医療用品などの在庫品が大量に保管されているほか、医療廃棄物も遺されているケースが多々あります。

医薬品などに対しては管理や廃棄方法には薬機法などの法律上の規制が及ぶため、適正な方法で管理や廃棄をしなければなりません。

通常は破産手続きが開始してから破産管財人に処理を委ねることになるでしょう。破産手続開始前に従業員などに外部に持ち出されないように厳重に管理しておく必要があります。

2.カルテなどの保管場所の確保

病院・診療所や歯科医院にはカルテについての5年間の保存義務(医師法24条2項、歯科医師法23条2項)が課されます。

また以下のような書類や資料は医療法により2年間保存しなければなりせん。

  • 各科の診療日誌
  • 処方せん
  • 看護記録
  • 手術の記録
  • 検査所見記録
  • エックス線写真
  • 患者数を明らかにする帳簿
  • 入院診療計画書

電子カルテを採用していない場合、医療施設を明け渡すことになった場合のカルテなどの保管方法・保管場所についても考えておく必要があります。

具体的には病院施設の買受人がいれば、買受人が診療録などの書類を引き継ぐケースが多いでしょう。一方、誰も買い受けずに病院を閉鎖する場合、自社で保管費用を捻出しなければなりません。

3.リース物件の所在と状態の確認

病院や歯科医院のCT装置などの医療機器はリース物件であるケースが多数となっています。リース物件は、廃業にあわせてリース会社により引き揚げられることがほとんどです。

リース物件の引き揚げをスムーズに進められるように、廃業を決定する段階で、設備の所在と状態を確認しておきましょう。

4.転院作業

病院が廃業する場合には、入通院中の患者への影響を最小限にとどめるべきです。

患者の生命や身体に危険を及ぼしてはなりません。

ところが廃業して医療スタッフを解雇してしまうと、入院患者の転院が非常に困難な作業となってしまうでしょう。それでは患者の安全を守れなくなってしまいます。

病院が廃業する場合には、廃業前の段階で可能な範囲で病床を管理し、入院中の患者には閉院予定日を予告して転院先を探すように促しましょう。また外部機関と連携し、あらかじめ他院に引き継ぐ方法を検討すべきです。

4-1.医療スタッフの確保

転院には医療スタッフの協力が必要不可欠です。

そのため、廃業するとしても、いきなり解雇すべきではありません。

廃業前に医療スタッフへ医療施設の閉院・廃業を予告して、閉院に向けた作業への協力に対して理解を求めましょう。

つまり病院では医療スタッフに事前に閉院・廃業を予告して一丸となって閉院・廃業に向けた作業を行う点で、他の業種の破産に向けた準備作業とは異なる特色があるといえます。

4-2.医療体制に不備がある場合の注意点

経営難から病院の医療体制に不備があり、入院患者の生命身体に危険が生じる可能性がある場合には、一刻の猶予もない状況といえます。

裁判所や行政機関、所轄の保健所および地域の医師会とも協議して、速やかに入院患者を十分な受け入れ体制が整っている医療機関に転院させましょう。

通院中の患者についても、継続的な治療を要する通院患者については、入院患者と同じく、行政機関などとも協力して、適切な転院先を確保しておきましょう。紹介状を書いてスムーズに他院へ引継ぎできるようにしておくべきです。

たとえば人工透析の患者の場合、一般的には週3回の透析が必要となります。自宅や職場との距離を考え、患者の日常生活に十分配慮しながら、時間的余裕をもって紹介先を検討する必要があるでしょう。

5.明渡しの工夫

クリニックなどが賃貸物件の場合、明け渡しをしなければなりません。

ただ院内の医療機器や医療廃棄物については、廃棄費用や撤去費用が高額になるケースが多数です。

医療機器がリース物件でない場合などには、現状で病院を承継してくれる同業の後継テナントを探すなどの工夫をする方がよいでしょう。

6.破産手続申立後に補助する従業員の確保

病院やクリニックが破産する場合、申立てをした後の補助者(元従業員)の確保も必要なケースが多数です。

管財業務を弁護士や破産管財人だけで進めるのは簡単ではないためです。

たとえば院内に入院患者がいる場合や通院患者の転院手続きが済んでいない場合、従業員を全員即時解雇すると必要な医療を行う人がいなくなってしまうでしょう。

医療を担当する医療従事者だけではなく病院施設の保守管理者や診療報酬の計算、雇用保険や給与計算をする事務職員も必要になります。

具体的な状況によっても異なりますが、破産申立前に最低限の従業員(看護師と事務員の代表各1名程度など)は確保しておきましょう。

7.診療を休止又は廃止している場合の届出

破産の申立て前に事業を休止や廃止した場合、病院の開設者は休廃止日から10日以内に都道府県知事へ届出をしなければなりません(医療法9条1項)。届出をしなかった場合には20万円以下の罰金刑に処せられます(医療法89条1号)。

エックス線装置を設置している場合、保健所長に対してエックス線装置等廃止届出をする必要もあります(医療法15条3項・医療法施行規則24条12号)。

破産の申立て前に休廃止する場合には、こういった届出も忘れないようにしましょう。

8.診療報酬債権への担保設定状況の確認

​経営不振に陥っている病院・歯科医院では診療報酬請求権を債権譲渡または譲渡担保に供していることがよくあります。

こうした情報は、破産申立て後に破産管財人へ引き継がなければなりません。

また医療信用組合や医師信用組合から借り入れをしている場合や担保設定をしている場合、担保権の抹消に理事会などの決済が必要となるケースがあり、一般的な金融機関よりも時間がかかる可能性もあります。

診療報酬債権の譲渡や担保設定の有無、種類、範囲、金額を確認し、情報については、速やかに破産管財人へ引き継げるようにまとめておきましょう。

9.事業継続を検討する

病院や歯科医院が廃業すると、周辺地域の医療体制に影響を与えてしまいます。地域医療や患者への影響を避けるためにも、事業を継続できないか検討しましょう。

破産した病院が事業を継続するには、事業譲渡先を確保する必要があります。その際、以下のような視点を持って検討してみてください。

  • 事業の買受人を見つけられるか
  • 医師を確保できるか
  • 収益計画を立てられるか
  • 理事長や院長の協力を得られるか
  • 医薬品等の仕入れ代金や人件費、その他の経費の支払資金を確保できるか

なおすでに多数の空き病床が生じていたり、保険の診療報酬請求権が譲渡されていたり、滞納処分によって差し押さえを受けていたりすると、事業譲渡による事業継続は困難となる可能性が高まります。

事業を継続したい場合には、破産申立てを依頼する弁護士に相談してみてください。