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​​クリーニング店が破産する場合の注意点

クリーニング業者は工場や店舗に顧客からの預かり品を多数保管しており、その中には顧客の申し出に応じて速やかに返却しないとトラブルに発展するおそれがあるものも含まれています。

そのため、廃業後も顧客からの返還要求に迅速に対応できる体制を整えておく必要があります。

また、クリーニング業では有機溶剤を使用しているため敷地について土壌汚染の調査の実施を求められる可能性があり、この点についても廃業前にあらかじめ確認しておくことが望ましいといえます。

以下ではクリーニング業者が破産する場合の注意点を解説しますので、経営状況が悪化して破産をご検討の場合には参考にしてください。

クリーニング業者は工場や店舗に顧客からの預かり品を多数保管しており、その中には顧客の申し出に応じて速やかに返却しないとトラブルに発展するおそれがあるものも含まれています。

そのため、廃業後も顧客からの返還要求に迅速に対応できる体制を整えておく必要があります。

また、クリーニング業では有機溶剤を使用しているため敷地について土壌汚染の調査の実施を求められる可能性があり、この点についても廃業前にあらかじめ確認しておくことが望ましいといえます。

以下ではクリーニング業者が破産する場合の注意点を解説しますので、経営状況が悪化して破産をご検討の場合には参考にしてください。

1.顧客からの預かり品の返還の準備

クリーニング業者は工場や店舗に多数の顧客からの預かり品を保管しているケースが多数あります。そういった業者が破産する際には、廃業後も顧客からの預かり品の返還要求に対応しなければなりません。

破産の申立て前・廃業前からあらかじめ預かり品の返還の方法や手順を決めておき、廃業後でも速やかに返還できるように準備しておきましょう。返還方法についてはホームページや店頭で告知したり、顧客へ個別に連絡したりして周知しておくべきです。

2.有害物質使用特定施設に該当するかどうかの確認

店舗や工場が有害物質使用特定施設(水質汚濁防止法2条2項)に該当する場合は、クリーニング所の廃止届以外にも同施設の使用の廃止後30日以内に水質汚濁防止法に基づく使用廃止届出書を敷地の状況届と一緒に知事に提出しなければいけません。

また土地の所有者などは、原則として事業を廃止した日から120日以内に土地の土壌汚染状況調査を実施して知事に報告すべき義務を負います(土壌対策汚染法3条1項) 。

このようにクリーニング業者が破産する際、工場等が有害物質使用特定施設にあたれば土壌調査の義務などが生じます。

たとえば、クリーニング店で、テトラクロロエチレン(パークレン)を溶剤として使用するドライクリーニングマシンを使用している場合は、有害物質使用特定施設に該当します。

破産を検討する際には、あらかじめこういった施設に該当するかどうかを確認しておく必要があるといえるでしょう。

また、各自治体に独自の条例や要綱、指導指針などが設けられているケースもあります。工場の所在する自治体にどういった定めがあるかについても確認しておきましょう。

3.工場における対応

3-1.変電設備や化学物質等危険物の保管や処理方法について

工場内に変電設備(キュービクル)や化学物質が存在する場合、有機溶剤などの有機物質が存在する可能性が高くなります。その場合、法律の定める正しい処理方法に従って適正な処理を行う必要があるので、やみくもに対処しないように注意しましょう。

3-2.通電の確保

工場では、シャッターを開け閉めする目的や設備売却にあたって作動状況を確認するため、またセキュリティ状況を確認するためなどの目的で通電が必要な場合が多々あります。

廃業するとしても電気を止められないように、電気の契約は継続しましょう、

3-3.産業廃棄物の処理

クリーニング店が廃業する場合、産業廃棄物が出るケースも少なくありません。産業廃棄物については法律に定められた方法で処理しなければならないので、適当に処分しないように注意しましょう。

4.従業員との関係の維持

クリーニング業者の破産では、有機溶剤の保管場所や土壌汚染の可能性などについての詳しい知識が必要です。そのためには現場の従業員による協力が必要となるでしょう。また顧客への預かり品についても詳細を把握しているのは従業員です。預かり品の返還をスムーズに進めるため、管理部門の従業員の協力が必要となります。

以上のようにクリーニング業者が破産手続きをスムーズに進めるためには元従業員の協力が必須といえるので、廃業後もできるだけ元従業員に破産手続きに協力してもらえるように対応すべきです。

破産することが決まったからといって、従業員との関係を不用意に悪化させないように注意しましょう。未払いの給与について未払い賃金立替制度を案内したりできるだけ退職金を渡したりするなど、従業員との関係を維持できるように対応してください。

5.財産状況の把握

クリーニング業者が破産する際には、自社にどういった財産があるのかを把握しておく必要があります。破産会社の財産については破産管財人に引き渡し、換価や債権者への配当を行ってもらう必要があるためです。スムーズに破産手続きを進めるため、自社にどういった財産があるかを事前にまとめておきましょう。

5-1.売掛金の把握

クリーニング業者では、未回収の売掛金が残っているケースもよくあります。未回収の売掛金も破産会社の財産となるので、裁判所や管財人へ報告しなければなりません。

どこの得意先へどういった売掛金があるのか把握し、まとめておきましょう。

ただし破産の際には、得意先から各種の増加費用にかかる損害賠償請求権などと相殺される可能性があります。そこでどういった増加費用がかかったかなどについても売掛金明細書に記載しておくと管財人に伝わりやすくなるでしょう。

5-2.機械設備の把握

クリーニング業者は大掛かりな機械設備を有しているケースが多いでしょう。機械設備もクリーニング業者の財産なので、破産手続開始決定時に残っていれば破産管財人が換価して債権者へ配当しなければなりません。

また破産手続開始前に破産会社が自ら売却して現金化しておく方法もあります。

機械設備の売却方法には、以下の2通りがあります。

機械設備を単独で売却する方法

個別の機械設備をそれぞれ売却する方法です。比較的高く売れる可能性がありますが、売れ残りが生じやすくなるデメリットもあります。

工場とセットで売却する方法

工場と機械設備をセットで売却する方法です。個別売却するより安くなる可能性がありますが、売れ残りは生じにくくなるメリットがあります。

5-3.工場等の不動産の把握

自社で工場や敷地の土地を所有している場合には、売却を検討すべきです。

ただしクリーニング工場では土壌汚染が起こっているケースも多く、やみくもな売却はできません。有機溶媒などによる土壌汚染の確認を行い、行政の指示を受けながら必要な調査をして売却処分を進めましょう。

なお破産手続開始決定時までに売却できなかった不動産については管財人に引き渡す必要があります。土壌汚染などの危険がある場合にはその旨管財人に伝えておくとスムーズに破産手続きを進めやすくなるでしょう。

6.事業を継続するかどうか

クリーニング業者が破産する際、事業を継続するかどうかについて検討できます。

ただし自社は破産によって消滅するので、事業を継続するのは同業他社となります。

自社の経営に関心のある他社を見つけられそうであれば、事業譲渡による事業継続を検討してみましょう。

事業譲渡をすると、以下のようなメリットがあります。

6-1.土壌汚染や産業廃棄物の問題に対応しなくて良い

事業をそのまま同業他社へ引き継ぐ場合、土壌汚染や産業廃棄物などの処理問題に対応する必要がありません。

6-2.汎用性の低い設備を有効活用できる

クリーニング業者が所有する設備は汎用性の低いものが多数です。事業譲渡をして同業他社へ引き継いでもらえれば有効活用できるでしょう。安値で処分してしまうよりメリットがあります。

クリーニング店が破産する際には法律上の注意点が多数あります。破産をご検討の場合にはお気軽に弁護士までご相談ください。