破産手続きは、経済的に破綻した債務者の破産手続開始時点の財産関係を清算し、総債権者に公平な弁済をすることを目的とする手続きですので、破産手続きが開始した後もそれまでの仕事を続けることは法的に禁止・制限されません。
このことは、会社員に限らず、個人事業主であっても同様です。
ただし、個人事業主が事業に用いていた動産類が自由財産(差押禁止財産である「その業務に欠くことができない器具その他の物」)にあたらない場合には、当該事業用資産は破産財団に帰属します。
そのため、事業用資産の評価額を破産財団に組み入れることと引き換えに、破産管財人に事業用資産を放棄してもらわないと、破産手続開始後に事業用資産を用いて事業を継続することはできません。
また、職業によっては破産手続開始の決定を受けて復権を得ていないことが欠格事由とされているもの(弁護士・税理士などの士業、警備員など)があるため、こうした職業に就いている場合には、免責許可決定を受けるなどして復権するまでの間は仕事を続けることはできません。
そのほか、破産手続開始の決定を受けたことで直ちには資格を失わないものの、登録を取り消されることで資格を失うおそれがある職業(保険外交員など)もあります。